短歌ギャラリー:創作ひろば「もな歌」

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[連載小説] ブロックチェーンタイムトラベラー さとなかもとし1
作:なのはな 
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今から10年先の2025年、ビットコインという暗号通貨から始まったブロックチェーン技術は、人類の進化の歴史として見える貨幣から見えない貨幣へと進化させ、概念を覆し銀行システムはもとより、信用を重要視されるあらゆるものに革命を起こした。
そして遂に謎の日本人さとなかもとしという研究家が長年の人類の夢を叶えようとしていた。時間とは最も信用を必要とするものである。それをブロックチェーンを用いて記録された時代にリアルな自分自身を送ってしまうのだ。ビットコインが発明された2009年までなら遡れるタイムトラベルである。暗号通貨の特徴であるブロックチェーンを使い、記録された時間にならばその時代にタイムトラベルが出来るという実験の最終段階である。
さとなかもとしという暗号通貨の研究者が、その技術を応用し、ブロックチェーンで繋がれた時間にならタイムトラベルが出来るという技術を使い過去に来た。ただ、その時代に行けるというだけで、場所はどこになるかは不明である。
2015年
さとなかもとしがタイムトラベルした場所は日本の山の中だった。それが分かったのは木々の間から遠くに富士山が見えたからである。
「日本か、運がいいぞ。山の中ではなく都会のほうが良かったけどな。まずは人のいそうなところへ行こう、水と食べ物を確保しなきゃ。」3時間をかけてやっと見つけたのは古くて小さな商店だった。
「すいませーん。開いていますかー?」
商品が置かれた狭い店内には誰も居なかったので大きな声で聞いてみた。奥から出てきたのは若い女の子だった。歳にして20代前半くらいだろうか。
「はい。開いてますよー。」
「良かった。この水とおにぎりを下さい。」
「はい。270円です。」
「ビットコイン支払いでお願いします。」
「・・・は?」
「・・・え?ああ、日本ならモナコインのほうがいいですか?」
「・・・は?いや、270円で。」
「・・・。」(しまった・・・。暗号通貨しか持ってないや・・。btcやモナなら大量にあるのに。大失敗だ。)
「じゃあ、すいません。やっぱり大丈夫です。」
現金を持っていない私は、買い物が出来なかった。店の前のベンチに腰を下ろした。ああ、喉が渇いた。やっとの思いで店まで来たのに水が買えない。暗号通貨のお金はたくさん持っているのに暗号通貨はこの時代ではまだ浸透していない。2025年はどんな場所でも仮想通貨払いが主流なのでうっかりしていた。放心して空を仰ぐときれいな富士山が見える。ただ、心は逆に青天の霹靂(せいてんのへきれき)。

「おじさん、はい。どうぞ。」
お店の子はお盆にお茶とおにぎりを乗せて私に差し出す。お茶はコップに、おにぎりは商品のものではない手作りのものだった。
「え?でも・・・円はもってないから・・・。」
「これ、商品じゃなくてうちのだから大丈夫。食べて。おにぎりは私が今作ったやつ。中は鮭ね。で、びっとこいんとか、もなこいんって何?」
女の子は茶化しているのか、半笑いで聞いてきた。
「うーん。分かりやすく言うと未来のお金かなあ。私は未来から来たからね。」
私は喉の渇きと空腹に負けてすでにお盆を受け取っていた。
「ハハハ。おじさん未来人なの?ウケるね。いつから来たの?」
「ん?2025年だよ。」
「チョイ先じゃん。10年後かー、もっと先から来てくれたほうが良かったなー。5000年後とか。」
「いや、おじさんも神じゃないからねぇ、生年月日は選べないよ。」
「そうか。でも、面白いからいいや。未来のお金見せてよ。どんなのなの?」
「ああいいよ。ちょっと待ってね。」
そう言うと、さとなかもとしはポケットからタブレットを出してビットコインウォレットを開いて彼女に見せた。
「何これ?」
「ん?未来のお金。」
「おじさん、これどうやって払うのよ。」
「君のタブレット貸して。未来のお金送ってあげる。」
「え?!いいけどメールとか写メ見ないでよ。」
「大丈夫。ウォレット入れるだけだから。」
さとなかもとしは、彼女からスマホを受け取るとウォレットを入れてそのアドレスにビットコインを送った。
「270ビットコイン送っといたよ。」
「へー。良く分からないけど、お金はいいよ。お茶もおにぎりも商品じゃないから。」
「君の優しさに対してのお礼。270円よりはこの時代でも価値があるよ。2025年とは比べ物にならないけど。」
「良く分からないけどじゃあありがと。それでさ、10年後はどんな世界なの?」
「うーん、今の2015年からすると随分と変わったかな。いろんなことがあったよ。日本の事でも世界規模でも。」
「それって悪いこと?」
「うーん、そういう出来事もあったよ。」
「そうなんだ。はぁー、なんかやだなぁ。」
さとなかもとしは、言ってしまった事で若者の未来を暗くしてしまったのを後悔した。
「うーん、でもね、人の優しさは今と変わらないから大丈夫だよ。君は幸せになる。」
「ほんと?嬉しい。」
「うん。君は優しいから大丈夫。お茶とおにぎりありがとう。これからもう少し都会に向かうよ。」
「ここの道を20分くらい歩くと駅があるよ。あ、でもおじさん、お金ないでしょ。ちょっと待ってて。」
そういうと店に戻って又出てきた。
「はい。これ持って行って。1000円。」
「いや、それは悪いよ。」
「大丈夫、今日のお手伝い料は3000円だから1000円くらい痛くない。」
「ありがとう。じゃあ、アドバイスなんだけど、さっき送った270ビットコインだけど、少しづつ取引所で両替していくといい。これから天文学的な増え方をするから。」
「あー、はいはい、忘れてなければそうするわ。取引所とか両替とか意味わかんないけど。おじさん、お腹すいたら又来てもいいよ。」
「ああ、ありがとう。又お話しよう。」
「じゃあね。」
「ああ、又ね。」

第1話 終わり



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